虫歯にならない人、虫歯になる人の差はなに?
約10年間歯科医院に勤めていた私は、友人から歯についての質問を受けることが多くあります。
ある時友人と虫歯の話になり、これまで自分は虫歯になったことがないのだと教えてくれました。
私自身は子供のころから虫歯が多く、治療するのに泣き叫んでいた記憶があるくらいなので羨ましくてしょうがありませんでした。では、なぜ虫歯になる人とならない人が出てくるのでしょうか。
勤めていた歯科医院で聞いた話を分かりやすくまとめてみました。
虫歯は虫歯菌が原因です
虫歯になる人は、口の中に虫歯菌が多くいる人です。
逆に虫歯菌がいないと、虫歯にはならないということになります。虫歯菌が歯の間などに詰まった食べかすや汚れなどを餌にして活動することで、歯を侵食していきます。
子供の頃から、食べた後は歯磨きをしないと虫歯になるよと言われてきたのは、虫歯菌が口の中にいる前提での話だったのです。
私の友人のように歯磨きをしてたら虫歯にならなかった人、あるいは歯磨きを全くしてないのに虫歯にならない人の口の中には虫歯菌はいないのかもしれません。
虫歯菌は3歳までが勝負
では、虫歯菌は一体どこからやってくるのでしょうか。口の中に虫歯菌が感染する原因は、主に唾液からです。それも幼少期、とりわけ3歳までに親きょうだいから感染することがほとんどです。
親やきょうだいと同じスプーンや箸を使ったり、遊びでキスをしたりすることによってうつってくると考えられています。
3歳頃までのこの時期に虫歯菌がうつらなければ、その後も虫歯にはなりにくいと言われています。
また、乳歯はいつか抜けて虫歯菌もなくなるから大丈夫と考えがちですが、いっぺんに乳歯がなくなっていっぺんに永久歯がはえるわけではないので、歯がある以上虫歯菌は口の中にとどまり続けます。
そのため、虫歯菌をうつさないためには3歳までが勝負なのです。
虫歯をくいとめるには?
私のようにすでに虫歯があっても、もう遅いと悲観することはありません。虫歯菌自体を完全になくすことはできませんが、虫歯にならないようにくいとめることはできます。
まずは、歯磨きを隅から隅までしっかりして、虫歯菌の餌となる汚れがつかないようにすることです。
いちばんいいのは歯科医院で掃除をしてもらうことですが、毎日意識的にケアすることでかなり違ってきます。
具体的には、歯ブラシで歯の根元から奥歯の奥までしっかり磨いた後、デンタルフロスや歯間ブラシで歯と歯の間の汚れまできちんと落とします。
これを毎日続けることで虫歯をくいとめられるのはもちろん、歯周病の予防にもなって気になる口臭をおさえることもできるので一石二鳥です。
それから、虫歯予防に効果のある食べ物や歯磨き粉などを試してみるのもいいでしょう。食事の後にキシリトールのガムやタブレットを食べることで、一度溶けた歯の表面が再生します。
最近よく聞く、再石灰化といわれるものです。他にも、フッ素の入った歯磨き粉で毎日磨くことで歯そのものが丈夫になり、虫歯菌の侵食を最小限に防いでくれます。
実際私は、毎晩フッ素入りの歯磨き粉で磨いた後、デンタルフロスをすべての歯間に通して汚れを落としています。
おかげで今のところ歯周病もなく、痛みが出るような虫歯もここ何年もできていません。以前は疲れがたまるとすぐに親知らずのところの歯ぐきが腫れていたのですが、意識的に歯磨きをするようになってからは全く腫れることはなくなりました。
いまでも親知らずは4本抜くことなく残っています。
まとめ
虫歯菌がある人はもちろんですが、今までに虫歯になったことがない人も最終的にいちばん大切なのはきちんとした歯磨きです。
虫歯にならない人のほうが、歯に対する意識が低すぎて歯周病になる人が多いそうです。歯周病になると歯ぐきが腫れたり、歯を支えている土台の骨がとけてしまいます。
日々の歯磨きがとても大事という点においては、虫歯になる人とならない人の違いは全くないのです。